若かりし頃は俊足が自慢の足も老いと共にО脚になり、膝(ひざ)間接に痛みが出てきた。効くといわれて薬も飲み、色々な治療をしてみたがサッパリ効果なし! 開業医の紹介で総合病院にて手術をして頂くことになった。医師は「両方一緒にした方がリハビリは楽で良い」と言われるので軽い気持ちで承諾した。
平成22年8月19日、両足六時間に及ぶ手術を受けた。私は以前2度の大手術を経験しているので不安はなかった。無事手術が終わり麻酔から醒めると全く「ダルマ」になったのである。右も左も向きを変えることができない。前日まで活発に動いていた者がじっと上向きに寝ていなければならない。
手術3日目にモルヒネが抜かれ、リハビリが始まった。二週間以内に足を曲げる練習をしないと永久に曲がらないといわれ、我慢しようと思ってもつい悲鳴をあげる始末である。9月3日にリハビリ病棟に移り本格的な訓練が始まった。一分毎に陣痛がやってくるような電器機械が、曲げる角度に合わせ2時間も続くのである。でも日毎に痛みも薄れ、90度曲げられる様になると痛さがなくなってきた。歩行器具や車椅子を使用して一人でトイレの使用許可が出たときは何より嬉しかった。
食欲が減退し体重が5`減り喜んだのも束の間、リハビリ中に目まいが出たり、食器が重く感じられた。人づてに地獄のリハビリと聞いていたが、訓練士は優しく冗談を言ってリラックスさせるのが上手で自然に歩行できる様になった。
11月27日、百日振りに退院した。一番喜んだのは猫の「チャッコ」であった。私は久しぶりに自分のベッドで、猫は布団の裾(猫毛布)でよく眠った。
1カ月後、3カ月後、医師の診察を受けた。「膝もきれいに治ってきたから半年に1回の診察でよい」と話された。
今年数え年83歳で亡くなった母の死に年であるが、私は自分の歯が28本あり、母より体力も気力もある。春夏秋は畑作業をし、自家製の無農薬野菜を毎日食している。せっかく治していただいた足。転んで再入院とならないよう注意しよう。88歳を目標に、造形大学に通っている孫娘と絵の2人展を開くのが現在の私の夢である。
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