救急外来の約20%を占める、腹痛についてちょっと注意しましょう。

脊髄梗塞
 腹痛の半分近くを占めるのが、いわゆる胃腸炎でその多くは感冒(風邪)が原因です。たまに食中毒が混じってきますが、多くの胃腸炎はいわゆる感冒に伴ってのもので、自然に治ることが多く、怖くはありません。痛みの特徴はへその上下の広い範囲で時々差し込むようなものですね。加えて吐き下しを伴うことが多いのは皆さん経験済みでしょう。下痢便に血液が混じるとか、物が二重に見えるなどということがなければ、落ち着いて病院に受診していただければ大丈夫です。受診しても、水分を取って様子を見てくださいと言われておしまいになることもあります。

脊髄梗塞
 次に多いのが、便秘の痛みとおしっこ関係です。便秘は腹が張る不快感を伴いますが、こどもと高齢者に多いのが特徴です。高齢者に聞きますとほとんどの方が、朝、排便をする習慣が崩れているようです。起床時か朝食の後に排便をすることが生理的であり、一番出やすい。できれば若いうちから習慣づけると将来、便秘になりづらいようです。しかし、便が出ないというのは本当につらいものなので、救急へかかりましょう。

 膀胱、尿管、腎臓などおしっこ関係の痛みは、その場所が特徴的です。脇腹か下腹部の痛みとして感じることが多く、なかでも膀胱炎として微熱を伴うことが最も多いですね。ただの膀胱炎は、割合に軽い病気ですが、高熱が出る場合は腎臓に強い感染が起きていることがあるので、夜中でも病院に行きましょう。

脊髄梗塞
 同じ泌尿器系でも結石があるととんでもない痛みとなり、死ぬんじゃないかとまで思ってしまうことがあります。当然、救急外来に受診していただく必要ありますが、ちょっとでも待たされると医者や看護師に文句を言いたくなる疾患の第一位です。しかし、命にかかわることはとても少ない病気です。

 その他に、頻度は少ないですが、たまにとんでもなく危ない痛みがあります。

脊髄梗塞
 へそのあたりが痛くなった後に、右下に痛みが移ったぞという時は急性虫垂炎。みぞおちのあたりが突然痛くなって何時何分までわかるという場合は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍。穴が開いている場合もあります。

 同じみぞおちの痛みでも起きているほうが楽だというときは、膵(すい)炎。おなかの右上が痛いよというときは胆石。いずれも暴飲暴食後によく見られます。

 さらにひどくなって、痛くて痛くて身動きできないとか、痛みもあるけどなんかふらふらしてすごい高熱がある。普段高血圧があって、突然とんでもない痛みがおなかや背中に出たなんていう場合は救急車を呼んでください。これらは腹膜炎、胆管炎、動脈瘤、心筋梗塞などの可能性があり、診察した救急医の顔つきが途端に険しくなること請け合いです。

 こう見てみますと、風邪で吐き下しだとわかる場合以外は、すみやかに救急へ受診したほうがよさそうです。